第41章 天地神明にかけて･再-ﾌﾟﾛﾎﾟｰｽﾞ-

みんなの声が更に大きくなり恥ずかしさに躯が強張る。こんなふうに話を誤魔化すなんて、自称・誠心誠意の男なのに卑怯過ぎる。



「さっきの返事…やっぱり気が変わったなんて言わないでくれよな？本気にしてるからな？」



「そんなことは…言いません」



「あとさ…自分で正直者って言いながら、ずっと嘘をついててごめん。でも、気持ちには嘘ついてないから」



「…もう、分かってるよ」



まだ目を開ける勇気はなかった。けれど私は確信していた。彼こそが───私の比翼。ずっとずっと側にいて欲しい人。



私の翼が彼に、彼の翼が私に。
彼となら私はずっと飛べる。



「詩遠…。俺のこと好きになってくれて有難う。これからもずっとずっと一緒にいよう」



私はやっと、頑丈な鍵が掛けられた鳥籠から空へと飛び立つことが出来たのだから…。



「お前のことを……───世界で一番愛してる俺と」



彼は嬉しげに笑み、羞恥する私の唇に触れるだけの口付けを落とす。



「は、隼人…」



「ん？」



「恥ずかしいから…」



「これ以上にもっと恥ずかしいことしたのに？」



唇を耳元に寄せ、くすりと笑みを溢す隼人に、私は躯がふるりと震える。



「俺とこの世界で生きることを選んでくれて嬉しかったよ」



「私も隼人がいるこの世界で生きたいって思ったから…」



「うん、すげー嬉しい」



私を凝視める優しい瞳に、ドキッとした。



「絶対に幸せにする」



「うん…」



「まだ恥ずかしがってる」



「わ、笑うなんて…！」



「違うよ、可愛いなって」



「！」



「それでさ、お願いがあるんだけど」



「何？」



彼は耳元に唇を寄せ、色っぽく囁いた。



「今夜、お前を抱かせてほしい」



「っ………！」



「たくさん触れ合って、唇がふやけるくらい口付けて、お前のことたくさん愛したい」



「はや…」



「だから…抱いてもいい？」



店の中でする会話じゃないと叱ってやりたい。けれど、どうやら私は彼に甘いらしい。愛されたいと思った。彼の、溢れ過ぎる愛で、私の全てを包み込んで欲しい。



恥ずかしげに頷いた私に、彼は嬉しそうに笑んで口付けを交わした───。



next…