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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第38章 イニシャル-ウソツキ-



「…いけませんか?」



「彼が素直に説得に応じると思うか?」



「応じます、必ず」



「…立花」



「…話し合えば必ず分かり合えるはずなんです。どんなに相容れない存在でも、どんなに突き放されても…心に寄り添えば必ず…」



『…お前は昔からそうだ。僕が知らなくていいと言っても、お前は『知りたい』からと僕を説得させようとする』



『けど…こればかりはお前に話すわけにはいかない』



「…詩遠ちゃん、その説得、やっぱり私にさせて」



「!」



「私も目を背けてるつもりでは…ないんです」



「ツグミちゃん…」



「でも…憎んでいないなんて、言いません。あの子が…ヒタキがどれだけ熱かったか、痛かったか。いっそ私が本を読めば良かったのにと思ったこともあります」



「………………」



「…私にとっては…家族のような…先生のような…信頼出来る人で…」



彼女は辛そうに話していた。



「ツグミちゃん、辛いなら私が代わりに…」



「っ、させられるわけないだろ!」



「……………」



「もし隠さんと一緒になって、お前に何かあったら…」



「あの時…隠さんと二人きりになるなと言ったのはそういう意味だったんだね?」



「…………っ」



「…私にも分かるの、ツグミちゃんが隠さんを信じたい気持ち。だからお願いします…彼女に話をさせてあげて下さい」



「詩遠ちゃん…」



ツグミちゃんは泣きそうな顔で私を見る。



「立花、君に見てもらいたいものがある」



「見てもらいたいもの?」



朱鷺宮さんが数枚の写真を私に見せる。



「百舌山教授の自宅を捜査していた時に見つけた写真だ。この中に見覚えのある奴はいるか?」



4枚の写真には4人の人物が写っていた。街中で隠し撮りされたものなのか、全員の視線はカメラから外れていた。



「……………」



でも…その中の一枚の写真を見た瞬間、私は背筋を凍らせる。



「…この人達が何か?」



「殺害される前、百舌山と接触を図ったと思われる人物だ。まぁ事件とは無関係だが君にも一応聞いておこうと思ってな」



私は震える手を必死に抑え込み、写真を凝視める。



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