第36章 ご褒美の味-シアワセ-
「…やっ、だ、駄目!!」
「な!!??」
私は隼人の胸を押し返す。
「ご、ご期待に添えるような形ではないので…!もしかしたら足りないかも…!」
「…足りない?」
「だ、だって…幻滅する!わ、私、大きさで勝負しようとか思ってなくて…!」
「…大きさ?何が?」
「…忘れて」
「そう言われたら忘れられるわけないだろ!
一体何なんだよ、ほら言え!」
「い、言わない!」
「じゃあ何か!?この盛り上がった俺の情熱を今すぐ冷ませと!?」
「そうしてもらえると…」
「……───力尽くで剥くぞ」
「………………」
逃げ腰になる私の腕を隼人は掴んで離さない。
「力尽くで剥いで、体中の至る所にキスして、恥ずかしがるお前を見るのも悪くないかもな」
「!?」
「だめ、逃がさない」
掴まれた腕を引き寄せられる。
「ほら白状しろ」
「…よ、葦切さんが」
「…先輩が?おい、まさか俺に関して妙な入れ知恵されてないだろうな!?」
「…は、隼人が…」
「俺が何だ」
「…胸の大きい女性が好きだって…」
「………………」
「言ってたので…」
「…くっそ。退院してきたら一発殴る」
「だから…」
「いや、それは重要なところじゃない。確かに以前そんなことを言った記憶があるような気もするけど、最重要ではない」
「…そ、そういうものなの?」
「とにかくそれに関しては金輪際忘れてくれ。俺は胸の大きさで価値をはかるようなそんな心の狭い男ではない……───というか、どんな理由つけられても…もう絶対に止めない」
「……んっ……」
再び重ねられた唇のせいで
私の躯から力が抜け始めてしまう。
「あの公園で一目惚れしてから…今夜までずっと…待ったんだ。その間…俺がどんな気持ちでお前を見てたか教えてやらないと」
「…んんっ…やぁ…っ」
「真面目に見えて実は少し天然で、無防備で…いつ他の奴に掻っ攫われるかって…気が気じゃなかった。だからお前の全部…───見せてもらわないと」
そう言った隼人が、私をベッドに押し倒す。一本一本の指を絡め合わせるように繋がれた手が彼の体温を感じて熱い。
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