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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第36章 ご褒美の味-シアワセ-



「何それ?興味ない振りしてるつもりなの?意識してるのバレバレ、彼だって気付いてたはずだわ」



「え!?」



「駄目なの?まだ貴女の中の『好き』が足らないの?」



「……───お答え出来ません」



✤ ✤ ✤


ピリリリ…ツ


その夜、部屋にいた私は音楽を聴こうとスマホの電源を入れ、イヤホンをジャックに差し込もうとした時、着信音が鳴って驚いた。



【着信:長谷叶斗】



ディスプレイに彼の名前が表示され、私の表情は悲しげに沈む。



「…もしもし?」



《お前に朗報だ。》



「え?」



電話に出るなり、長谷君がそう言ったので、私は思わず聞き返す。



「朗報って…?」



《葦切拓真が意識を取り戻した。》



「!!」



《感染症の危険もあるから当分は入院することになるらしいがな。》



「…どうして…長谷君がそんなこと知ってるの?今、何処にいるの…?」



《帝都大学病院だ。》



「な、何でそんなところに!?」



《お前が気にしていた葦切拓真という男のことが気になってね、少し様子を見に行っただけだ。》



「葦切さんに何かしたの…?」



《お前は僕が彼に何かすると思っているのか?》



「………………」



《するはずないだろう。そんなことをしても僕には何の得にもならない。》



「…長谷君、頼みがあるの」



《急に改まってどうした?》



「…稀モノを渡して欲しい」



《……………。》



「持ってるよね?」



《何を言い出す?稀モノなど持っていない。》



「クロエから聞いたの。
長谷君が黒い本を持ってたって」



《………………》



「あの時はアウラの力は既に失われていて稀モノの判別が出来なかったけど…あの和綴じ本は稀モノだった。全部思い出したよ。」



長谷君からの返事はない。



「そして長谷君の部屋の本棚にあった和綴じ本も稀モノだった。そして稀モノを読んだ瑞希は窓から転落死してしまった。倒れていた彼女の側には炎のように燃える赤い本が落ちてたの」



《そうか…アウラの力が戻ったのか。》



「長谷君、私は、友達を信じたい。君を、疑いたくはない。だから…知ってることを教えて欲しいの。長谷君が隠してる秘密も総て」



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