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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第34章 彼女の提案-ヨワムシ-



カップを洗って部屋に戻ろうと階段を上がると作戦室の方から歩いて来る隼人を見つけて、慌てて駆け寄った。



「隼人!どうだった?」



「朱鷺宮さん達にさっきの話してきたんだけど、それはやっぱり…犯人が送りつけた可能性が高いんじゃないかって」



「…そういうことになっちゃうよね」



「この間も言ったように…新しい本、っていうのがどうにも悪意しか感じない。そしてその『犯人』は…先輩のことを知っていて、会社の住所も名前も分かってる奴だよな」



「もしかして…何か情報を掴みかけてそれで狙われたとか?」



「充分あり得る」



「(まさか…あの人が…)」



「…難しいのはさ。妹の場合は、もう時間も経ち過ぎてるし接点も到底浮かばないから恐らく完全に『偶然』なんだ」



「(あの人の目的が分からない…。どうして葦切さんを殺そうと…。葦切さんは何の情報を掴んだの…?)」



「ただ先輩はそうなると『故意』だ。そいつが、次に誰を狙うのか…これで終わるとは考えにくいし」



「………………」



「いっそ、フクロウなんか邪魔だーなんて言って俺に送りつけてくれればいいのにな。他の奴が被害に遭うよりは…」



「隼人、怒るよ」



「…………!」



「そんなつまらない冗談はやめて」



「冗談じゃないって。……お前が犠牲になるよりは全然いいよ」



「え……」



「俺の心配してくれてどうもな。悪いけど今、すっげーときめいた」



「…冷やかさないで」



「俺はいつでも誠心誠意の男だよ」



「………………」



本当に、彼には困惑させられてばかりだ。こんな深刻な事態に陥っている時に、私の心を揺さぶらないで欲しい。



…話題を変えなきゃ



「そうだ、実は素晴らしいお知らせがあるの。柾さんが号外を撒こうって」



「………え」



「フクロウとか首相の名前じゃなくて、探偵小説みたいに派手な見出しをつけて、煽ろうって。葦切さんがいたら…そうするはずだからって。それで今、『帝都新報』に説得に向かったの」



「…すげー…それは最高の作戦だ」



「私も励まされた気がする。明日もまた頑張って書店を巡って…」



「…いや。お前も久世と一緒に号外撒いてこい」



「え!」



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