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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第34章 彼女の提案-ヨワムシ-



「?読みまシタ」



「(稀モノの影響を…受けてない?)」



「物語ハとても素敵でしたヨ」



「(そっか…クロエは…)」



彼女が普通ではない事に気付き、私は悲しそうに目を伏せる。



「詩遠?」



「ううん、何でもない」



心配させないように笑う。



「二人はどうやってこの世界に?」



「…分かりまセン。叶斗様に呼び掛けられるまでは…眠っていたのデ」



「そっか……」



「貴女ハ何故この世界に?」



「…誰かに階段から突き落とされたの」



「突き落トされタ…?」



「犯人は分からない。でも…笑ってた。そいつ…落ちていく私を見て、笑ってたの」



「……………」



「気付いたらこの世界を彷徨っていて、警察に保護されて…今は立花家にお世話になってる」



「…楽しいデスか?」



「うん、すっごく楽しいよ」



「それハ良かったデス」



「(声に変化がないからどういう感情で話しているのか全然分からない…)」



私は冷めてしまった残りの紅茶を飲み干す。



「さて…私はそろそろアパートに戻るよ」



「私モ帰りまス」



「クロエ、今日はどうして会いに来てくれたの?もしかして長谷君に監視しろって頼まれた?」



「イイエ、私の意志デス。今日はとても…貴女の顔ガ見たくなっテしまったのデス」



「そっか…私も会えて嬉しかったよ」



「アイスも美味しかったでス。このお店ハ良く来るノですカ?」



「仕事の昼食の時に寄ったりする。ここのオムライスがすごく美味しいの。紅茶と合わせて頼むことが多いよ」



「オムライス…ですカ?」



「うん。初めてみんなで来た日に隼人にオススメしてもらったんだ」



「想い人に勧められタものなら、貴女は何デモ美味しく感じるんでしょうネ」



「!」



「その方の話ヲすると、貴女ハ嬉しそうデス。本当に心ノ底から想ってイルのですネ。私ハ応援しますヨ、頑張ってくだサイ」



「な、なんか照れるね…」



私は恥ずかしくなった。



「一人で帰れる?」



「ハイ」



「ん。それじゃあ…またね、クロエ。」



「ハイ、また…詩遠。」



私達はフラマンローズを出ると、それぞれの帰る場所に向かって歩き出した。



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