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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第34章 彼女の提案-ヨワムシ-



「まず暑いから窓を開けたの。そこで私は瑞希に"身を乗り出すと危ない"って注意をした。」



「叶斗様の書庫にはクーラーがありませン。夏は窓を開けないト命の危険性ガありまス。それに3階だと確かに身ヲ乗り出すのハ危ないデス」



「それから本を探し始めたんだけど…」



思い出そうとするも、頭に靄がかかったようにその先を邪魔する。



「(ゆっくり…ゆっくり思い出そう。)」



カップに口を付け、思考を巡らせる。



「(本を探している時に何かあったような…)」



ユラ…ッ



「!」



一瞬、炎のような光が脳裏に浮かんだ。



「(何、今の?)」



ユラリ…



「(そうだ!炎──!!)」



「詩遠?」



「本を探している時…普通の本に混ざって、一冊だけ炎のように燃えてる和綴じ本があった」



今度はハッキリと思い出す。



赤い色を放つ、美しい本だ。



「あれは…アウラだったんだ」



思わず手にしていたカップを落としそうになる。驚いた表情を浮かべる私にクロエは不思議そうに首を傾げた。



「(でも瑞希には見えてなかった…)」



ズキッ



「痛……っ」



記憶の封印を破るかのように激しい頭痛が起こる。私は苦しげに顔を歪め、痛みに堪えた。



「(思い出せ。あの日の事件を。彼女が自殺をした本当の原因を───!!)」



時間が巻き戻るように記憶が逆算する。



「(あれは確かにアウラの輝きだった。あの時はどうして和綴じ本が一冊だけ混ざってたのか不思議だったけど…)」



今思えば、あの燃える本は…



「(稀モノだった。)」



『その本が気になってるの?』



『こんなに真っ赤な本だと返って不気味だわ』



『あれ?読まないの?』



「(きっと彼女は私の様子がおかしい事に気付いてた。だから本を開いてしまって…)」



その後の事は考えずとも明白だった。



「……………」



「詩遠?どうシたのデスか?」



「…あまりのショックに記憶の一部が欠落してた」



苛立ちが抑えられず、歯を噛み締める。



「(…全部、思い出した。)」



悲しい瞳を宿し、泣きそうになる。



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