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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第33章 茜色の再会-ジケン-



そんな私に、まるで追い打ちを掛けるように彼がほんの一瞬憐れむような視線を向けた。



「…隼人?」



「…ごめんな、立花。まだ続き…あるんだ」



「!?」



「猿子さんだって朱鷺宮さんだって、もちろん気付いてますよね?」



今度は、朱鷺宮さんが同情めいた眼差しになる。



「葦切先輩の現場にあった本が…非常に新しいものであることを」



「……え?」



「『同じアウラの稀モノ』として繋げて考えるのであれば、久世ヒタキ君と、先日彼女が見つけた本に関しては表紙に毛羽立ちや傷もあり、古書なのは間違いありませんでした」



「………………」



「でも先輩のこの本には、全くそう言った経年劣化がありません。余程良い状態で保管されていたか…もしくは、最近新しく書かれたか」



「(新しく書かれたって…)」



「葦切先輩が意識不明の状態なので、どのようにしてこれを手にしたか分かりません。ただ少なくとも…ここ最近、世に出たものなのは間違いないと思います」



「(…故意?まさか本当に誰かを傷つけるために…あの本を書いたっていうの?)」



「出来れば勘違いであって欲しいけど、筆跡と名を変え…感度も本を書いているとしたら、それは確実に『気付いている』と思うんだ。自分の書くものが…誰かに影響を与える、ということに」



「………………」



「立花君には残酷な話だったね」



「いえ…大丈夫です…」



声が震えていた。



「しっかりしろ、立花!
お前は何のためにここに来たんだよ!」



「……隼人」



涙が溢れそうになるのを
私はきつく唇を噛んで堪えた。



「今の話…繋げるとどういうことか分かるか?俺の妹や久世の弟、色々な人を無差別に巻き込んだ犯罪者が、今でも生きて何処かで本を書いてるかも知れないってことだよ」



「………………」



「そして明日にでもまた新しい犠牲者が増えるかも知れないってことだよ!」



「…………っ!」



泣いてはいけないのだ。



「…止めないといけませんね」



私はきつく拳を握り、みんなを見た。



「…もしそれが本当なら、もう二度とそんなことが起きないように…その人を止めないと」



「………………」



「…そうだな」



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