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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第33章 茜色の再会-ジケン-



「俺さ……───誰かの悪意を感じるんだよ」



悪意。その言葉に私の全身からすっと血の気が引いた。



「そう思うのも嫌なんだけど…そう疑う俺に苛つくんだけど…でも、どうしても引っ掛かって。もう二度と妹みたいな不幸な奴を出したくない」



「…………っ」



「そして…何かあの本の手掛かりを掴みたい。俺はそう思ってフクロウに入った。それなのにまた事件が起きて…先輩もあんな目に遭って…」



「隼人……」



「俺は妹達の事件…絶対に『偶然の一致』なんかじゃないと思うんだ」



確信に満ちたその声色に
私の脳裏にあの日の瑞稀の姿が浮かんだ。



「…あの本を確認したツグミちゃんが言ってた。今日見つけた…あの本…弟さんが読んだ本と同じ…燃え盛る炎と同じようなアウラに視えたって」



「…………っ」



「ツグミちゃんの中の記憶と全く同じ色だったらしいの」



「…まさか…そんな…」



「ああ、ここにいたか。……丁度良かった」



「朱鷺宮さん!猿子さん!」



階段から二人が姿を現した。



「二人に話したいことがあるんだ」



そう言った朱鷺宮さんの表情がいつになく厳しい。また───『良くない話』であることは予想出来た。



まるで人払いするかのように
猿子さんがホールの扉を閉ざす。



「…話したいことと言うのは…」



朱鷺宮さんがそこで微かに
苛立たしげに唇を噛んだ。



「…栞。やはり僕から話すよ」



「……───済まない。
これでも冷静のつもりだったんだが」



「さて、何処から話すのが一番いいかな」



穏やかな猿子さんの声が、逆に不安を募らせる。私は膝の上できつく手を握り締め、言葉の続きを待った。



「尾崎君は、フクロウの調査報告書を総て読んでいるよね。……極秘のものも。なら、栞の夫のことも…もちろん気付いているよね」



「…やはり、偶然同じ性…ということではなかったですか」



恐らくいつもならそこで軽妙に言葉を返す朱鷺宮さんは、俯いたまま黙り込んでいる。



「もう四年は経つかな。『本を抱えたまま焼身自殺を遂げる』という謎の事件が三件続いた」



「……え?」



「……っく……」



「…立花。これがさっき、俺が言い掛けたことだよ。まさか、まさかって…思って」



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