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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第31章 アウラの揺り籠-ムジョウ-



ツグミちゃんが滉を叱る。



「誤魔化して何になるんだ、あんただってカラスのこと聞いたんだろ?こういうことが…起きるんだよ本当に」



「(ツグミちゃんも聞かされたんだ…)」



「以前にも似たようなことはあった。
口封じが大好きな奴等だからな」



「…個人的な意見ですので、皆さんにお伝えするか迷いました。ただ…くれぐれもご注意下さい」



「そいつの分まで生きろよ、燕野」



「…尾崎さん」



「お前の悔しさは分かるよ。家族とか友人とか、親しい奴に先に逝かれるのって辛いよな。しかも理由がそれなら尚更。でも、絶対に捨て鉢にはなるな。命と引き替えに敵討ちとかつまんないぞ」



「……はい」



✤ ✤ ✤


作戦室を出て、巡回に向かうも、みんなやはり無言だった。そんな中、私は思い切って尋ねてみる。



「ねぇ隼人。……さっきの燕野さんのことで少しいい?」



「どうした」



「カラスが危険な組織だっていうのは…改めて分かった。なら、その扱っている稀モノの方は?何か小さな手掛かりでも…」



「それがなぁ、最近目立った情報もなくて」



「…そうなんだ」



「元から手際がいい奴等でさ、俺達も証拠らしい証拠はまだ掴めないんだ。だから立花は怪しいと思った本があったら取り敢えず回収してくれ。それを久世にアウラかどうか見てもらう」



「…分かった。じゃあ、行って来ます」



「気をつけてな!」



「うん」



───その日は、ずっと気が重かった。



「(口封じのために人を殺す…)」



私は先日の猿子さんとの約束を果たしに、仕事が終わると同時に図書館に赴いた。



「あら立花さん」



「突然申し訳ありません。
猿子さんにお会い出来ますか?」



司書さんに案内され、猿子さんに会いに行く。



「やぁやぁ!本当にお茶を飲みに来てくれたんだって!?」



「は、はい」



「君は律儀だなぁ、歓迎するよ!ちなみにお茶の種類なんだけど、甘いのと辛いのと苦いのと酸っぱいの、どれがいい?」



「…出来れば甘いのでお願いします」



「分かったよ。
じゃあ、ちょっと煎ってくるね!」



「(…今、煎るって聞こえたけど、そこからなの…?まぁ、どんな味でも死にはしないはずだし!)」



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