第27章 彼とコロッケ-リソウ-
「尾崎さん、いいと思うけどな。
きっと貴女を大切にしてくれそう」
「…そ、そんな…」
「よし柾、俺も応援するぞ」
「葦切さんまで!」
「俺も隼人のことが心配で心配で」
「……………」
「立花さん良い人ですし、安心して隼人を任せられます」
「そ、そう言われましても…」
「あいつ、本当にいい奴で俺の自慢の後輩なのは確かなんです。ただ…熱くなりやすいのと、結構独りで背負い込んじまうところがあって」
「(それは分かる…)」
「だから、そういうところも汲んでくれて出来れば美人で料理が上手で、更に出来ればそこそこ胸がある女性があいつの面倒見てくれたらって」
「(………胸?)」
「…………胸?」
「…済まない、失言だった女性の前で。最後の条件は聞かなかったことに。そ、それよりも一体どうして奴とそんなことに!?」
「……………」
「ほらさっきも言ったでしょう!?あいつ、そういうところ口が堅くて先輩の俺でさえ、なーんにも話してくれないんですよ!」
「待って下さい!話をそらさないで!」
「葦切さん、無理に話題を変えるのは良くないです」
「目が怖い!立花さん目が笑ってない!!」
ニコッと黒い笑みで笑えば、葦切さんは私の目が全く笑っていない事に対して顔を引き攣らせ、焦り出す。
「それって尾崎さんが胸の大きい女性が好きとか、そういうことなんですか!?そこ、とっても重要なところですよ!!」
「い、いや!そこまでは!!ただ亜米利加から戻ってきた時に『向こうの女性は胸が大きかった』みたいなこと言ってたから!っていうか男はみんな好きだろ!!胸が!!」
「そうですか」
柾さんは冷たい声で返す。
「………………」
「あのぉ…立花さん?」
「はい?」
軽く笑んで見せる。
「…笑ってないです、目が…」
「そんなことありませんよ」
「あと…声にも若干、鋭さを感じる気がするんですけど…」
「気のせいです。」
「お、怒ってます…?」
「嫌ですねぇ、怒ってないですよ」
「やっぱり目が笑ってない!!」
恐怖で震える葦切さんを他所に、私は残りの紅茶を全て飲み干した────。
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