第27章 彼とコロッケ-リソウ-
柾さんの側にいた男性が小さく頭を下げ、席に着く。
「初めまして、『帝都新報』の葦切拓真です。
どうぞよろしくお願いします」
「帝都新報…お二人は新聞記者なのですか?」
「ええ、そうよ」
「そうでしたか。初めまして、帝国図書情報資産管理局の立花詩遠と申します」
私が自己紹介すると───葦切さんは驚いたように声を上げた。
「もしかして噂の“灰被り姫”…!?」
「……………」
「先輩!いきなり不謹慎ですよ!」
「あ、すみません…」
「…いえいえ、なんだか変な渾名が付いてしまって。ちなみにガラスの靴は落としていません。まだちゃんと履いてます」
冗談めいたようにニコリと笑う。
「でも驚いたわ。その制服、私の幼馴染みと同じなんだもの」
「幼馴染み?」
「久世ツグミちゃんは私の幼馴染みなの」
「そうでしたか!」
「まさか立花さんとこうしてお話できるなんて思わなかったわ」
柾さんは嬉しそうに笑む。
「お仕事はどう?ツグミちゃんみたいに意地悪されたり、危険な目に遭ったりはしてない?」
「ご心配いただき有難うございます」
「そう言えばね、実は俺の後輩もフクロウにいるんですよ」
「え!?誰ですか?」
「尾崎隼人って奴です」
「!!」
「ご存知ですか?確か部署って二つあるんですよね?あいつは探索部のはずなんですが」
「し…知ってます。はや…尾崎さんにはいつもお世話になってます。私も探索部なものですから」
「おー!そうですか!ってことは立花さんは隼人の後輩ってことになるわけですね!」
「ツグミちゃんと一緒ね」
「そうですね」
「私も一度お会いしたことがあるのよ。巡回の時だったかしら。彼女が『隼人』って呼んでいたわ」
「(この前の巡回の時かな…)」
「格好いい人よね」
「だろだろ?あいつ俺の知り合いの中じゃ一番の色男でさ、かなりモテるんだよ!」
「そうなんですか?なら恋人なんて選り取り見取りなのでは?」
「と思うだろぉ?それがぜんっぜん興味なさげなんだよ、これが!」
私はチョコレートパフェと一緒に頼んだ紅茶に口を付ける。
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