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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第24章 二つめの予兆-ビリヤード-(‪√‬)



「隼人は給仕さんと知り合いなの?」



「え?あ、いや知り合いっていうかさ、こんなふうに出入りしてたら親しくなるじゃん?」



「(そうか、そういうものなんだ…)」



私は物珍しくて、ついついまた周囲を眺めてしまう。丁度、奥の台では平塚先生が勝利したらしい。



「こういう集まりって初めてで面白い。それに此処は自由で素敵な場所だね。誘ってくれてどうも有難う」



「………え」



「私、夜に出掛けるのは禁止されてたから。こういう集まりがあるなんて知らなかった。色々な人がいてみんな楽しそうで、見てる私も楽しい」



「…立花にそう言ってもらえると、凄く嬉しいよ」



「お世辞じゃなくて本音だよ?」



「知ってる知ってる、そんなお世辞なんて言える性格じゃないもんな」



「…褒めてるの?貶してるの?」



「褒めてるに決まってるじゃん」



「隼人さん、お待たせしました」



「お、サンキュ!」



「ところで、そろそろじゃないですか?
準備は大丈夫です?」



「任せとけ、今夜も優勝するぜ」



「(…今夜『も』?)」



「というわけで立花、ちょっとやってくるから応援頼むよ!しっかり見てて!」



そう言って隼人は私にダージリンのカップを手渡し、自分はお酒らしい何かを飲みながら歩いて行った。



不思議と、そういう仕草も卑しく見えないのは彼の明るい華やかさのせいだろうか。



私がそっと台に近付くと、すぐに試合が始まる。隅にボールが落ちると、周囲からどっと歓声が上がる。



「(ということは、きっといいことなんだよね…?)」



それからも、ずっと隼人ばかりがキューを突いている。ルールが全く分からない私でも、周囲の反応から彼が勝っているらしいことは分かった。



「よっ」



「杙梛さん。調子は如何ですか?」



「まぁそこそこかな?こんなことなら俺も勝利の女神を頼めば良かった」



「…そんな、出前みたいに。それにしても隼人、本当に強いみたいですね」



「あいつなー」



杙梛さんが呆れたように隼人を見遣る。



「今のところずっと優勝してるんだぜ、何が勝利の女神だよ、そんなもんいなくても勝てるだろ、ばーか」



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