第24章 二つめの予兆-ビリヤード-(√)
「間違いなく稀モノです」
「確かか久世?」
「はい…朱色のアウラです」
早速ツグミちゃんに確認してもらうと案の定、それは稀モノだった。
「お手柄ね、詩遠ちゃん」
「よくやったな、立花」
「い、いえ…そんな…」
「そうですよ!立花の手柄です!
もっと褒めてやって下さい!」
「おめでとう!でかした!」
「あ、有難うございます」
「…おや?その割には余り嬉しそうじゃないな」
「い、いえ!嬉しいです!ただその…まさか私が見つけられると思わなかったので驚いてます。皆さんのお役に立てて良かったです」
へら、っと曖昧に笑ってみせた。
「でも一応、隠さんにも確認して貰いますね」
「(ツグミちゃん…?)」
彼女はそれを持って隠さんのいる部屋を尋ねた。そんな彼女の姿を隼人がじっと凝視めている。
「(隼人も心配なんだろうな…)」
彼女の瞳に何がどう映っているのかは解らない。本が炎のように燃えている。それを想像することは簡単だけれど、実際にこの目で見たアウラはとても怖いものなのだろう。
「(不思議な世界…)」
本をツグミちゃんに託し
私は隼人と共にまた巡回に出た。
「いやぁ、稀モノが見つかった日は清々しい気持ちで仕事が終えられるなぁ」
「そうだね」
茜色から紺碧色に姿を変えた空。午後にも、古い和綴じ本と巡り会えた。そのどれも危険なものではなく、総て書店の棚に並ぶことになった。そういう意味では今日はかなり実りの多い日だ。
「ところでさ、今日ってこの後、何か用事ある?」
「別にないよ。ただ図書館でも寄ろうかなとは思っていたけど…」
「それは明日にして、俺に付き合わないか?今夜これから、フラマンローズでビリヤードの試合があるんだ」
「ビリヤード?フラマンローズってそんなこともやってるの?」
「まぁ試合って言っても正式なものじゃなくて、好きな奴らが集まってやってるだけだけど。俺も出るから、応援しに来てよ」
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