第24章 二つめの予兆-ビリヤード-(√)
──その朝、私はそわそわしながら玄関前に立っていた。
「(昨日あんな話をしたせいか…緊張してしまう。)」
昨日は猿子さんと朱鷺宮さんから励まされ、ここに来た意味をもう一度噛み締めた日だった。
「(ちゃんと役に立たないと…)」
私が不安な気持ちで青空を見上げた時だった。
「おはよ!今日は俺と二人だな!」
「おはよう。今日はよろしくお願いします」
「よし、行くか」
そうして隼人と二人で巡回に出掛けた。
まず向かったのは古書店だ。
「こんにちは、お邪魔します」
「ああ、今日もお疲れさん。実はね、調べて欲しいものが…あるんだよ、っと!」
「!?」
「これこれ!今朝早くまとめて持ってきた人がいてね。この中、全部本だから!」
「お任せ下さい!」
「(凄い本の数…)」
「おお!何だかすげー沢山入ってる!」
「…本当だ」
葛籠の中には、ざっと見ても五十冊以上の本が入っている。しかも半分以上は和綴じ本だ。
「…ところで、これで変な本とか見つかってもうちに何の影響もないよね?罰金とか」
「ないですないです、全くないですからご安心下さい」
「なら良かった」
ほっとしたように彼は一度大きく息をつき、はたきを持って歩いて行ってしまう。
私と隼人は、中にある本を丁寧に取り出してゆく。
「これだけあったら一冊くらいは期待出来るな」
「そうだといいな」
「もし稀モノが見つかったら、お祝いにフラマンローズで何か奢るよ」
「そんな」
怪しい本は持ち帰ってツグミちゃんに確認してもらおう
一冊の本に触れた瞬間───激しい頭痛がした。
「……痛ッ!!」
咄嗟に本から手を離し、片手で頭を押さえる。
「おい、どうした!?」
「そ、それ……っ」
ズキズキと痛む頭を押さえながら
私は再び葛籠の中に手を入れた。
炎は見えないが、嫌な気持ちになる。
「隼人…その本、持ち帰って調べてみた方がいいと思う。嫌な感じがするの…」
「もしかして…稀モノか?」
「その可能性はあると思う…」
私達はその本をフクロウに持ち帰ることにした。
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