第23章 愛を伝えるために-キセキ-
「ああそうか…アイツにも抱かれたんだな?この淫乱女!!くそビッチ!!あの男にも腰を振ってよがったのか!?クソクソクソ…!!許さない!!ボクだけの詩遠ちゃんなのにぃぃぃ〜〜〜!!」
「……………」
苛立つ男は両手で髪をグシャグシャと掻き乱す。私は無表情を崩さず、冷たい眼差しを送り続ける。
「絶対に殺してやる!!ボクの詩遠ちゃんに手を出すなんて!!ボクが刑務所に入っている間を狙ったんだな!?あのクソ野郎!!」
「……………」
「君も悪いんだ!!ボクという恋人がいながら他の男に媚びを売ったんだろう!?この痴女!!浮気女!!ああああ〜〜!!許さないぞぉぉぉ!!」
憎悪の色を眼に宿し、私を睨み付ける男。
「そうか…だからボクの前から消えたのか。アイツ…あの茜色の瞳をした男。アイツが今の君の恋人なんだろう!?」
「……………」
「何でだよ…ボクはこんなにも君を愛しているのに!!可愛い恋人が寂しくならないように手紙だって送ったのに!!君は一度も返事をくれなかった!!ボクの愛を無視していいと思ってるのか!?」
「メディアではアレが謝罪の手紙だと放送されていた。でも…今まで送られてきた手紙にはそんな文章一言も書かれてない」
「馬鹿なマスコミが勝手に勘違いしただけさ!そもそも何でボクが君に謝罪をするんだろうね?今でも捕まった意味が分からないよ」
「(本当に狂ってる…。)」
「それより!手紙と一緒に送ったカード!読んでくれたかい?あれにはボクから君への愛がたっぷり綴ってあるんだ!」
「読むわけないでしょ」
「ふふ…君は照れ屋さんだなぁ。さっきからボクと目を合わせないなんて。君とボクの仲じゃないか。君の綺麗な瞳にボクを映してよ」
「……………」
「ねぇ…まだボクが付けた愛のシルシは消えてないかい?あの日ボクは君の首に愛の証を残したんだ。もし消えているなら、またボクが付け直してあげるよ!」
「……………」
「ここじゃ君が恥ずかしいだろうから、場所を変えようよ。そうだなぁ…君の家に行こうか。そうしたらベッドで君をたくさん愛せる。気持ち良くて喘いでいる君の姿、想像するだけで堪らないよ…!」
「……………」
男は恍惚とした表情を浮かべる。
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