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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第21章 この世で一番美しい炎-マモルモノ-



「爵位や地位がなくたって、人は幸せに生きていける───!!」



「っ!?」



「……立花」



「華族でなくたって…生きていて楽しいと思えることがたくさんあるの!だからみんな笑顔でいられるの!生きるって…素晴らしいことなんだよ!!」



「下々の者に囲まれていたせいで、そんな愚かなことを考えるのだ」



「違う!」



「そこの卑しい飼い犬と馴れ合ったせいか。
全く…何処までも迷惑な」



「ふざけたこと言わないで!」



「言っておくが、私はそれのように甘くはない」



そう言って彼はベストの奥から拳銃を取り出し───滉目掛けて放り投げた。



「!?」



そうして床の上に転がったその一丁の拳銃を滉は言葉なく凝視めている。



「…滉、お前は自分が今更善人になれると思ったのか?あの美沙宕とかいう芸者を庇ったろう」



「………!」



「あの仮面舞踏会の時には、丁寧に連絡を寄越したじゃないか」



「……………」



「鵜飼の息子の招待状で入り込むことも、彼女が同行することも。その次の時までは忠実だった。外に警察官が待機していること、尾崎隼人が入り込むということ…総て教えてくれたろう。なのに…今更?お前はいつも弱く愚かだ」



「!」



「フクロウの者達は流石に知らないだろう。あの鳶田の始末を命じられたお前がそれを拒み…ここから追い出されたことなど」



「………!?」



「その甘さが私の癪に障るのだよ、滉。とても四木沼の血を引く者とは信じ難い。貴様も四木沼の者であれば、その拳銃でこの私を撃ってみろ。人一人殺せぬ惰弱者め」



「何を…言うの、そんなこと…」



「さぁ滉、それを拾い、この兄を撃ってみろ」



「……っく……」



「……───だから惰弱者だと言うのだ、貴様は!!」



バァンッ



「うあああ……───!?」



「きゃああ!?」



「…ああ。貴様など、人ではなかったな。この私の飼い犬に過ぎない。人とは認めない。婢女の腹から産まれた者など」



「貴方……っ」



「例え半分は四木沼の血を継いでいようとも…認めるわけにはいかない。尊い血のみ、受け継がれるべきなのだ」



「…最低、貴方」



「君がまだ子供なのだよ」



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