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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第19章 決断-ユウキ-



「留学や旅行の話も嘘ではないんですよ?」



「!」



「元の世界では、高校を卒業した後、語学を学ぶ為にフランスに短期留学していました。もちろんアメリカとイギリスに旅行も行ってます。そしてこの世界に来るまでは洋菓子店で働いていました」



もうここまで話してしまったら
あとは流れに任せるだけだった。



「立花家の人達が引き取る前の私を知らないのは、私がそういう空気を出していたからです。誰にも聞かれたくなかった。最後まで誤魔化しきれる自信が…なかったので」



もしかすると勘づいた者もいたかも知れない。でも、知っていても聞かないでいてくれた。おじい様も使用人達も。だから私は今まで立花詩遠として暮らしてこられた。



「朱鷺宮さん。滉も。私の話を信じてくれとは言いません。そんなの簡単に信じられるものではないと分かっています。況てや…別の世界から来たなんて…。信じろと言う方が無理だと思います」



「……………」



「でもこれだけは信じて下さい。私はフクロウの味方です。全て話せなくて…ごめんなさい」



涙ぐんだ表情で深々と頭を下げた。



シンと静まり返る空気に居心地の悪さを感じる。ギュッと目を閉じて二人からの返事を待った。



「…立花、顔を上げてくれ」



朱鷺宮さんの声が返ってきて、私は恐る恐る顔を上げ、彼女を見る。



「…話してくれて有難う」



「!」



朱鷺宮さんは、柔らかな笑みで私を見た。



「それを話すのに、凄い勇気がいったろう?君の抱える悩みを簡単に聞き出そうとして済まなかったな」



「…いえ…いいえ、こちらこそちゃんと話を聞いて下さって有難うございます」



「正直、君の話を完全に理解する事は今の時点では難しい。まだ少し混乱している」



「………………」



「けど…君が嘘を言っていない事は分かった。立花警視総監もきっと薄々は感じている筈だ。お前が何かを隠している事実を。でもそれを敢えて聞かないのは、立花を想っているからこその優しさなんだろうな」



「おじい様には…いつか話そうと思います」



「そうしてやれ」



「はい」



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