第19章 決断-ユウキ-
「滉も…その…ごめんなさい」
「…別に気にしてないよ」
「そう、ですか…」
「まぁ…別の世界から来たってのには驚いたけど。でも、立花は立花だと思うし。そんなに気負う必要はないと思う」
「!」
その言葉に嬉しくて、笑みを浮かべる。
「うん…有難う」
「………………」
滉は気まずそうに目を逸らした。
「さて…別の話はこれでおしまいだ。
次は本来の話をしよう」
「本来の話…」
「立花」
「は、はい!」
あの柔らかな笑みから一転、厳しい顔つきになった朱鷺宮さんが私を鋭く見つめる。
「私があれだけ行ったのに、独りで先走ったな?」
「そ、それは……っ」
「それとも滉に誘拐された?」
「違います!!」
「はい、正直でよろしい」
「………………」
「伝えたいことはもうこの間全部伝えた。
もう叱る気力もない」
「も、申し訳ありません…」
「…無事に戻って来てくれて良かった」
「とき、みやさ……っ」
いきなり抱きしめられて、言葉を失う。
「君が誰かを心配するように、君の心配をしている人間もいるということを忘れないように」
「……はい」
「君はどうもそのことを忘れがちだ」
「…申し訳…ありません」
「余りにも私の言いつけを守れないようなら、あの部屋の扉と窓に外鍵をつけてでも監禁するぞ」
「ご、ごめんなさい…!」
「君が誰かを失いたくないように、私も誰も…もう失いたくないんだ」
「……───はい」
「滉、このお転婆娘を連れ戻してくれて有難う」
「…………っ」
「取り敢えず、今はそれだけ言っておこう。
君も…考えるべきことがあるだろうから」
「……はい」
「よし、二人とももう戻っていいぞ」
にこやかに笑んだ朱鷺宮さんに見送られ、先に出た滉に続いて、私も作戦室を出ようとした。
「お嬢さん」
「はい?」
「君が何処の誰であろうと、私は君を嫌ったりしないよ」
「!!」
「もちろん、隼人や滉達も…な。
それだけは覚えておいてくれ」
「はい、有難うございます」
その言葉に嬉しくなって、涙ぐんだ表情で笑い、頭を下げた。
next…