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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第19章 決断-ユウキ-



「彼が集めた稀モノは、フクロウが管理しているものより多いかも知れません。そして…最終的にこのフクロウを手中に収め、所蔵している稀モノを総て手にするつもりでいます」



「え……!?」



「……───何てことだ。ただ、そうだな…それなら納得がいく。今まで彼が私達を潰さなかった理由が」



「そうです。稀モノを回収させるだけさせて、横取りする魂胆なんです」



「…非道い…」



杙梛さんが言っていたのは…



こういうことだったんだ…



「あの男はあらゆるところと繋がっています。困窮した家などに予め目をつけ、家財を処分するとなった時に稀モノを得たりしているようです」



「(本当に酷い…)」



「ただ書店などは流石に全部が彼の傘下、とはいかないですからね。本物の稀モノは総て自分に、客には偽物を。でもそれで客の方も十分なんですよ」



「(偽物なのに欲しがるの?)」



「奴等は物語を読むために…本を手にするわけではないですから」



「……そんな」



「そうして何冊も読んでいるうちに、薬物中毒に似た状態になってきます。あの百舌山が使っている薬の影響なんでしょう」



「…先日の柄長は、やはり…」



「百舌山が屋上まで連れ出し、突き落としたのだと思います」



私と朱鷺宮さんは、同時に顔をしかめた。



「客はオークションに参加する前に契約書を交わすんです」



「契約書?」



「オークションのことを決して第三者に口外してはならない。オークションで手にした稀モノを第三者に読ませてはならない。それを破った者は……───厳重な罰を与えるものとする」



「つまり消されても自業自得、と」



「知っての通り、あの店は会員制です。表向きは爵位や財産がその条件となっていますが…その実は、四木沼にとって必要な者かそうでないか、というところではないでしょうか」



「……………」



「そうして集まった彼等は自ら四木沼喬という男の賛同者になる場合もありますし…。偽の稀モノによって正常な判断能力を失っているところに罠を仕掛け、弱味を握り、脅迫している場合もあるようです」



「……………」



「ただ…そんなやり方ですから、あの男そのものは自分の手を殆ど汚していないんです」



「…何処までも姑息な男だな」



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