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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第19章 決断-ユウキ-



「何をされるって言うの。…貴方なら知ってるんでしょう。なら今のうちに私に教えてくれない?オークションのことだけでなく、あの四木沼喬に関わる総て…知っていることを教えて」



「……………」



「そうして私を脅かせば、やっぱり行かないって言うかも知れないよ」



「……言うな」



彼は皮肉めいた笑みを浮かべ、私を眺めた。



「あいつがあんたに子供を産ませたいってのはまぁ…あながち嘘でもないと思う」



「……………」



「あの二人が結婚してもう結構経つけど…未だに薔子さんは妊娠しない。本当かどうか分からないけど、子供が出来にくい体質なんだって噂を聞いたことがある」



「それで何で私なのか…知ってる?」



「……───そこまでは、知らないな。
気に入られたんじゃないか、やっぱり」



「…それだけ?」



「だから知らないって!」



「そ、そうだよね…ごめんなさい」



「まぁ、若くてそこそこ血筋のいい女に産ませたいってことだろ。あんたは一応…華族令嬢なんだし」



「……そう」



「でも…運良くあいつの子供を産んだとして、その後どんな扱いされるかは分からないよな」



「!?」



「妾として、金と住み処を宛てがわれて遊んで暮らせるならまだ幸せで…産んだ直後に子供を取り上げられて、そのままあそこに出入りしてる男達の相手をさせられるかも知れないぜ?そんな人生を送りたいわけ?」



「……───その必要があるなら」



「馬鹿な強がりもいい加減にしろよ!?」



「っ、」



「男に触れられただけでも身が竦んで震えるくせにそんなの耐えられるわけないだろ!?」



鋭い怒声が響き渡り、私は反射的に躰を硬くした。



「全然分かってないからそんなこと言えるんだよ!綺麗なものだけを見てきた世間知らずのお嬢さんは引っ込んでろ!」



「("綺麗なものだけを見てきた"…?)」



男に襲われた時の事を思い出す。



「…違う。綺麗なものだけを見てきたわけじゃない。…汚いものだってちゃんと見てきた」



「どんな汚いものを見てきたって言うんだよ?警視総監してるお偉いさんに拾われて、大きなお屋敷で何不自由なく暮らして、周りから大事にされてきたあんたが…どんな汚いものを見てきたんだよ」



「……………」



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