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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第19章 決断-ユウキ-



「彼女の声を聞けば…少しは心が和らぐと思ったんだけどな。繋がるはずないよね…」



残念めいた溜息が溢れた。



「あれ…?」



メールが一件、届いていた。



未読のメールを確認すると、それは定期的に配信されるニュースだった。



「日付は…私がこの世界に来る前。
あ、あのカフェを出た後か…」



この前見た時は気づかなかった…



「どうせ芸能ニュースでしょ」



【俳優S、兼ねてから交際している女優Nと近々ゴールイン予定。】



【○○○駅に看板猫が誕生!名前は駅員さんが命名し、ミー君に決定しました!】



【映画監督Hに隠し子発覚!?】



「看板猫のミー君以外はどうでもいいな」



興味もないニュースに溜息を吐いて、メールを閉じようとした時…。



「────っ!」



【××年前に学校帰りの女子生徒を建設中のビルに連れ込み、性的暴行を加えたとして逮捕された男が××年の刑期を終え、執行猶予付きで仮釈放された。】



スマホを持つ手がカタカタと震える。



「釈放…された?あの男が…?」



目の前が真っ暗になった。



「何で…野放しにするのッ!!」



激しい怒りが込み上げ、憎しみで顔が歪む。



「あの男を釈放したら…また同じ事を繰り返すに決まってる…ッ!一生消えない傷を残すかもしれないのに…!」



今でも覚えている。あの男の卑しい顔。身体に触れる汚い手。耳障りな笑い声。忘れたくても忘れられない。



「世界は残酷だな…」



震える身体を無理矢理抑え込み、スマホをバッグの中に戻す。



「早く…見つけないと…」



元の世界に帰れば、またいつもの日常に戻る。朝起きて着替えて、ご飯を食べてカフェで紅茶を飲んで、仕事に向かって、余ったケーキを持ち帰って、夜ご飯を食べて、ふかふかのベッドで寝て、次の日を迎える。



休日には友達と遊んで、一人の時はお菓子を作って、たまには読書もして、道端にいる猫ちゃんを撫で回して、時には噛まれて、その愛くるしい姿を写真に収める。



それが私の日常だった。



「これも…運命なのかな」



私は眉を下げ、悲しい瞳を宿した。



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