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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第18章 漆黒の策謀-アウラ-



「そんなことが、出来るようになってしまって。フクロウに入った理由はフラマンローズで話したよね?」



「確か『稀モノに影響された人達を救いたいから』だったよね?」



「うん」



「…凄いなぁ…」



累は訝しむどころか、感心したように私を凝視めている。



…医者志望と言ってたし


こんな話も突飛には感じないのかな


翡翠もいるし、嫌悪されるよりはいいけれど



「ところで、さっきの男性って大学の方なの?」



「うん、医学部の百舌山識郎教授。
それなりにお世話になってるんだ」



「そうだったんだね」



「でも…出直すなんて言って、あのお店の常連さんっぽいよね。笹乞さんと親しいのかな」



「「……………」」



「まぁ、大学の教授と本屋さんが親しくしてもおかしくはないか。じゃあ僕はアルバイトがあるからそろそろ失礼するよ。仕事頑張って」



そうして累も立ち去り───私達三人が残る。



先に切り出したのは翡翠だった。



「滉。さっきのあれは一体何なんです?僕は決して笹乞さんの味方ではありませんが、何の証拠もないのにあんなことを言ったら本当に訴えられても文句は言えませんよ?」



「……ちょっと苛ついたんだよ」



「苛ついたって、そんな」



「とにかくその証拠の稀モノを持って早く戻ろうぜ」



話を一方的に打ち切り、滉が踵を返した───その時。



「うわああ……────っ!!」



「きゃぁぁ!助けてぇ!!」



「何かあったみたい!」



「あっちです!行きましょう!」



✤ ✤ ✤


「おい警察だ!警察を呼べ!
暴れてる奴がいるぞ!」



「ぎゃぁぁ!?」



「きゃあ……!?」



人混みを掻き分けた途端
すぐ目の前に白刃が煌めいた。



「いやあ!人殺しよぉぉぉ……っ!!」



見ると、日本刀を握った男が次々と通行人に襲い掛かっている。



「翡翠!取り押さえるぞ!
立花は引っ込んでろ!!」



「………!」



滉と翡翠が男に掴みかかるようにして押さえ込み、刀をもぎ取る。



「あ!?」



男の懐から、一冊の和綴じ本が落ちる。



けれどそれにアウラが視えないことに
私は反射的に安堵した。



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