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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第18章 漆黒の策謀-アウラ-



「笹乞さん!申し訳ありません!
……滉!謝って!」



「そいつがカラスの手先じゃないって証明出来たら土下座でも何でもしてやるよ」



「……な!?」



その言葉に───笹乞さんの顔色がはっきりと変わった。



「な、何を……っ……貴様……っ」



「きゃ……!?」



「なっ!?」



「…お前…何様のつもりだよ」



「笹乞さん!落ち着いて下さい!
ほら、他のお客様もいるんですよ!」



「うるさい!!そいつ…殺してやる…っ!」



「詩遠!危ない!」



累が強く私の腕を引いた───その時。



「これは一体何の騒ぎなのかね」



「…………っ」



「!?」



見ると、入り口のところに異様な風貌の男性が立っていた。よれよれの外套に、痩せこけて筋の浮いた手。



「……ん?君は医学部の鷺澤君じゃないか。
何故ここに?」



「何故、と言われましても僕は学生ですから本屋くらい来ますよ。偶然立ち寄ったらこんな騒ぎで。何だか例の稀モノとかいう奇妙な本が、この店から見つかったようですよ」



「…………っ」



「恐ろしいですね。でも、帝都の皆さんに被害が出る前に見つかって良かったです。教授だってそう思われますよね?」



「……───ああ、もちろんだ」



男は私達を一瞥し、不機嫌そうに溜め息をついた。



「何だかとても本を買う気分ではなくなってしまった。出直すことにするよ」



一瞬、男が私を見た気がした。



彼は足早に出て行くと、すぐさま笹乞さんが私達を怒鳴りつけた。



「あんた達も出てけ!!
今日はもう閉店だ!!」



✤ ✤ ✤


「…本当にごめんなさい、累」



「僕は全然気にしてないよ。
それよりも詩遠に驚いた!」



「え?」



「さっきのあれ…突然君の目が光ったよね?もしかして稀モノと普通の本が区別出来るの?」



「え?ああ…そっか、累にそこまで詳しく話してなかったね。私、稀モノのアウラが視えるの。と言っても、視えるようになったのは最近なんだけど…。えっと、アウラっていうのは…本に宿っている感情の色…のような?」



「……え!そんなことって出来るものなの?」



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