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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第17章 獲物-キョウハク-



「それは…大丈夫です。ボタンが数個取れただけです。…でも…全部、夢だったら良かったなとは思っています」



「何を言われた?」



「……───仲間になって欲しいと」



「……………」



「それともう一つ。彼の…四木沼喬の子供を産んで欲しい、と」



「え!?」



「一体何故私なのか…良く分からないんです。『条件に合っている』とは…聞こえたのですが」



「条件、って…」



流石の朱鷺宮さんも言葉に迷っている。



「それは年齢や家柄ということか?だがそれならこんな面倒なことをしなくても他に幾らでも相手はいるだろう」



「私もそう思います。ですからそれは…ただの脅迫という可能性もありますよね。それと朱鷺宮さん、黙っていて申し訳ありません。私…アウラが見えます」



「アウラが見える…?」



「正確には、見えるようになった、ですが…。あの日、四木沼喬に拉致された時、忘れていた記憶の欠片を無理やり抉じ開けたんです」



「どういうことだ?」



「学生の頃です。友人の家で親友と本を探していた時、偶然見つけたんですよ。炎のように燃えている本を。」



「!」



「その本、触っても熱くないんですよ。私は驚いたんですが、親友には何も見えていなかったんです」



「まさか…稀モノだったのか?」



「そうだと思います。でも気味が悪くてその本は放置したんです。その後、親友を残して私は紅茶を淹れて部屋に戻ったのですが…親友の姿が何処にも見当たらないんです。そして…例の本も何処かに消えていました」



「消えた!?」



「消えた親友と本。それと…開かれた窓。何故だか私は嫌な予感がしたんです」



「まさか…」



「亡くなってました。警察の話では窓から飛び降りて自殺でもしたんだろうと。でも違ったんです。死んだ彼女の側に…赤く光る本が落ちていたんですよ」



「!!」



「彼女は稀モノの犠牲者でした。私があの本を気にしていたから彼女は手に取って本を開いてしまった。だから窓から飛び降りた」



「……………」



「私が…殺したも同然です」



「っ!?」



「でも彼は私を責めないんです。彼女が死んだのは私のせいじゃないって慰めるんです。彼女は…本に殺されたんだからって」



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