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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第13章 月に憧れて-ユメ-



「ちょっと暑いわね…窓を開けましょうか」



「この部屋はクーラー無いんだよね」



「夏は地獄だわ…」



窓を開けると、外から入り込んで来る風の心地良さに癒された。



「んー!風が気持ちよくて涼しい!」



「瑞稀、そんなに身を乗り出すと危ないよ。ここ3階なんだから落ちたら大変だよ」



「大丈夫よ!そんなドジは踏まないわ!それよりも早く本を探しましょう!」



彼女は窓から離れると本棚から自分の好きな本を探し始める。調子の良い彼女に呆れつつも、私も好きな本を探し始めた。



「!」



ふと隣の本棚に視線を移した途端、私は驚いて目を見張る。何の変哲もない書物に交じって一冊だけ…眩い光を放つ本があった。



「(本が光ってる?)」



良く見るとそれは赤い背表紙の和綴じ本だった。どうして普通の本の中に和綴じ本が混ざっているのかは不思議だったが、それよりも更に驚くべき事態が今目の前で起こっている。



「(何で本が燃えてるの!?)」



普通の和綴じ本に変わりはない。でも私の目にははっきりと、その和綴じ本が赤く光を放っているのが映っている。



ごしごしと目を擦り、改めて和綴じ本を見ると…。



「嘘…どうなってるの…?」



変わらず赤い光を放っている。唖然としながらも、本棚から赤い背表紙の和綴じ本を引き抜いた。



「触っても熱くない…。じゃあ…これは一体…」



「どうかしたの?」



私の異変に気付いた瑞稀が横からひょっこりと顔を覗かせて、赤い和綴じ本を見下ろす。



「ねぇ瑞稀この本───……」



「その本が気になってるの?」



「え?」



「こんなに真っ赤な本だと返って不気味だわ。なんてタイトルなのかしら…」



「何言ってるの瑞稀!不気味なのは色じゃなくて…!」



「ん?なぁに?」



「(もしかして瑞稀には見えないの…?)」



燃えている本を見たら必ず驚くと思っていた。それなのに彼女は、燃えている本を見ても平然としている。



「この本、やばくない…?」



「やばいわね。ホラーを感じるわ」



「いや、そういうのじゃなくて…」



やっぱり瑞稀には見えていない。だとしたら当然の反応だ。私は燃える本を不審に思いつつも、見なかったフリをして本棚に戻した。



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