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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第1章 空の瞳の少女-トリップ-



そこで意識が途切れ、気付いた時には大正時代にタイムトリップしていた…というのが、ここまでの私の経緯だ。ちなみに本来なら22の歳だが、何故かこの世界に来て見た目が若返っており、18歳になっていた。



その後は、帰る家もなく、泣きそうになりながら暗い夜道を途方もなく彷徨っていると、見回りをしていた警察官に保護され、家の住所や家族の事を何度も聞かれるも、私は警戒して口を閉ざした。



持っていた鞄の中身を調べようとしていたので頑なに拒否し続けていると流石に不審に思ったのか、それとも埒が明かないと思ったのか、警察の人が呼んだのは、現日本国で警視総監長を勤めているおじい様だった。



『お前さん、名前は?』



『……………』



『家はどこだ?』



『……………』



『お前さん未成年だろう?こんな夜道に出歩いておると、家族が心配しておるのではないか?』



『…家族はいません』



『!』



『どうして…こんなことに…。私が何をしたって言うの…?もう…誰も…』



『…そうか、お前さんは独りなのか。見たところ珍しい格好をしておる。外国から来た可能性もあるな。すまんが、鞄の中を調べさせてはくれんか?』



『……………』



『ふむ…困ったのぅ。お前さんの素性が分からんと、我々もこのまま帰すわけにはいかんのだ』



『……………』



『うちに来るか?』



『!』



『帰る場所が見つかるまでの間、儂がお前の面倒を見よう。名前は何と言うんだ?』



『詩遠です…』



『詩遠、腹は減ってないか?』



『……………』



『すぐに温かい物を用意させよう。表に車を回してある。それに乗りなさい』



優しく微笑むおじい様に、まだ警戒心が解けない私は、訝しげな目を向けて言った。



『何故…私にそこまでするんです?身元も分からない奴を保護して、貴方に何の得があるって言うんですか?』



『得など何もない。困ってる奴がおったから儂は善意でお前さんを保護した。それに今は物騒な事件も続いておる。お前さんを一人にする方が心配なのだ』



『私が悪い人だったらどうするんです』



『……………』



『実はわざと保護されるフリをして、貴方を騙そうとしているかも知れない。そうは考えないんですか?』



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