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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第1章 空の瞳の少女-トリップ-



「特集ページに載ってる質問コーナー読んだ?」



「読んだ読んだ!」



「特に気になったのが『好きな女性のタイプは?』っていう質問!」



「"綺麗な瞳をしていて、一緒に幸せを願い、未来を共に歩んでくれる人"でしょ?」



「そう!」



「やっぱレベルが違うわ長谷叶斗…」



「でも本当にそんな人、存在するのかな?」



「漫画の世界なら見つかったかもね」



「やーん!私も叶斗の理想の女性に近付きたーい!むしろ結婚したいんだけど!」



「向こうは芸能人だよ?一般人のあたし達じゃ相手にすらされないって」



長谷叶斗との結婚生活を夢見る友達に現実を突きつけるもう一人の少女。



「そういえば、長谷君、今度ドラマの主演に抜擢されたよね!」



「連続ドラマだよ!私絶対録画する!」



「でもさ、長谷君があんな役を演じるのって珍しいよね?今まではヒロインの恋人とかお兄ちゃん役が多かったのに」



「あーあたしも思ったそれ。ドラマ自体は王道の恋愛モノなんだけど、ああいう役を叶斗が演じるって少し意外だった」



「最初はただ純粋にヒロインを愛してたのに、ヒロインの周りに自分以外の男が近寄って来て親しそうにしているのを見た主人公の愛が狂気に変わる役だよね」



「うんうん。でも叶斗に愛されるならそれが歪んだ愛でも構わないな〜!」



「放送されるの楽しみだね!」



「(私だったらすぐ別れるな。恋人がクズになっても嫌だし。しかし…ヒロイン役に抜擢された女優さんも可哀想だな。)」



まだ長谷叶斗の話題で盛り上がる二人に呆れつつも、チラッと壁に掛けられた時計で現在の時刻を確認する。



「(やばい!!時間ギリギリ…!!)」



いつもよりも長居してしまったようだ。紅茶を一気に飲み干し、慌てて鞄を持って代金を支払い、喫茶店を出た。



小走りで職場に向かうが、急いでいる時に限って横断歩道の信号機の色は赤。しかも交通量の少ないこの交差点は青に変わるまでが少し長い。私は焦りながら信号の色が青になるのをひたすら待つ。



「(この横断歩道を渡らないと職場に行けないし。あぁもう…完全に出遅れた。)」



いつもは青なのだ。でも今日は出るタイミングを間違えた為に、一度も引っ掛からない信号で待たされる羽目になっている。



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