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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第8章 不快な笑い声-カラス-(√)



「♪〜♪〜♫──♪♪〜♪……」



そうして、二曲目に入ろうというその時。



「っ!?」



「…ああ、やっぱりあんたしかいないよな」



不審者ではなかったものの、また別の緊張が走り抜ける。



「(き、聞かれ…今の、絶対に聞かれ…)」



「人影が見えたから、一応見に来てみた。今までここに入る奴なんて久世以外は滅多にいなかったから」



「そ、そうみたいだね」



「じゃあ」



「あ、あの!」



「……何」



「(うっ…素っ気ない…)」



歌のことに触れないでくれるのは有難いけど、余りにも素っ気ないと逆に不安になる。



「カラスのことで…聞きたいことがあるの」



「…………っ」



焦りもあってか、彼を引き留める為に発した言葉に、私は後悔した。



「(…い、嫌そう…。止めておけば良かった…。)」



「…聞きたいことって何?」



「な、何かという程でもないのだけれど、もし他に知ってることがあったら教えて欲しいなって」



「特にないよ」



「…そう、ですか」



まずい…踏み込み過ぎた



「作戦室で話した程度の情報しかないよ。少なくとも俺はね。そんなに気になる?」



「気になるというか…情報は少しでも多い方がいいでしょう?」



「まぁね。朱鷺宮さんと猿子さん…もしかしたら隼人あたりまではもう少し詳しい何かを掴んでるかも知れないな。だから聞くなら、隼人とかの方がいいと思うよ」



「(…また、そんな言い方。
私は…貴方に聞いてるのに…)」



あんまり詮索しちゃ駄目だよね…



「分かった、有難う」



つい苦笑を浮かべると
思い掛けず滉の言葉が続いた。



「…でもまぁ、朱鷺宮さん達も今日のことは予想外だったんじゃないかな。俺も驚いたし。まぁ一番驚いてるのはあんたと久世だろうけど」



私はまた苦笑しなければならなかった。



「…そうだね。でも驚いてばかりもいられないし。明日の舞踏会はよろしくお願いします」



「…よろしく」



返事を返してくれたことに一先ず安堵した。



「(言葉のキャッチボールは成功…。)」



「あと前から気になってたんだけど」



「え?」



「あんたってもしかして…警視総監の立花宗一郎の知り合いだったりする?」



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