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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第8章 不快な笑い声-カラス-(√)



そうしているうちに猿子さんまでもがやってきて、みんながそわそわと落ち着かない様子で探索部長の帰りを待っていた。



「戻ったぞ、諸君」



「お帰りなさい!どうでした!?」



「ほら、土産だ」



隼人が戻ってきた朱鷺宮さんに声をかける。彼女が土産だと言って差し出したそれに、私は息を呑む。



間違いなく──それは、ツグミちゃんが言っていた、黒いアウラの稀モノだった。



「お帰り栞、お疲れ様。まぁ取り敢えずこれは隠君に渡してくるよ」



猿子さんはその本を躊躇いなく手に取り、書庫に歩いて行く。



「これはやっぱりアレですかね」



「まぁほぼクロと思っていいだろうな」



隼人はもう総てを把握したような顔で不敵な笑みを浮かべている。



「…あれ、とは?」



私とツグミちゃんは疑問を浮かべた。



「ああごめん、二人とも。
のけ者にしたわけじゃない」



「ううん、そういうわけでは…」



「そうだな、お嬢さん達はまだ何も知らないよな」



「「…………?」」



私とツグミちゃん以外のみんなが、苦笑めいたものを浮かべながら顔を見合わせる。



「…立花が初めて巡回に出た日だったかな。稀モノの闇オークションの話をしたのを覚えてるか?」



「覚えてるわ、もちろん」



「うん」



滉の言葉に私達は頷く。



「まぁそれの詳しい話になるんだけど。…朱鷺宮さん、俺から話しちゃっていいですか」



「ああ、頼む」



「……──『カラス』って奴等がいるんだ」



「…鴉?」



「オークションなんて言うくらいだから、個人で一冊二冊売買、なんて軽いもんじゃない」



「どういうこと?」



「定期的に、しかもかなり大掛かりに行われていて…そのオークションを仕切ってる奴等のことを俺達は『カラス』と呼んでる」



「(…『カラス』)」



「噂では本だけじゃなく、出所の怪しい骨董品、絵画、果ては……───『人』なんかも扱ってるらしいな」



「人!?」



「場所ももう目星がついている。ギンザの豪華絢爛な会員制ダンスホール『ナハティガル』ってところだ」



「ナハティガル…」



「(それって…違法オークションだよね。)」



「四木沼財閥の名は知ってる?」



「四木沼?もちろん」



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