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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第7章 ナイフと紺色の手帳-ヒヨクノトリ-



「まぁ仕方ないさ、あっちの建物が正式には本部だし、そのあたりの情報をちゃんと説明されなかったんだろう」



「あともう一つ、まぁこれはついでなんだけど。立花さんの身分証明証が仕上がったから、今日の帰りに寄ってくれるかな?」



「はい」



「これも同じ理由で申し訳ないんだけど、事務所が向こうにあるから、本人確認と署名のために直接来てもらわないとならなくて」



「そうなんですね、分かりました」



「じゃあ、待ってるからね」



そう言って猿子さんはお面を微妙に揺らしながら、地下に続く扉に歩いて行った。



燕野さん達と作戦室を出て、アパートの近くを歩いていると、また紫鶴さんと出くわした。



「……───警察官がいる」



「紹介するよ、紫鶴さん。こいつは警察との連絡係として配置された、燕野太郎」



「…紫鶴?もしかして…汀先生ですか!?」



「僕を知っているのかい?」



「はい!名前は存じ上げております!ただ恋愛小説が苦手なので読んだことはないのですが!」



「燕野君!?」



「ははは、正直でいいな。そうだよ、僕が汀紫鶴。あのアパートで厄介になってるんだ、また会うこともあるだろうからよろしくね」



「はい、不束者ですがよろしくお願いいたします!」



紫鶴さんは機嫌を損ねる様子もなく、むしろ楽しそうに燕野さんを眺めている。



「(…良かった。私やツグミちゃんみたいにからかわれたら可哀想だもの。)」



「このところ続けて逸材が増えて、僕も見守る楽しみが出来たよ」



「(むしろ紫鶴さんの遊ぶおもちゃが増えたような気がする…)」



「今から巡回だろ?気をつけて行っておいで」



「はい!行ってまいります!」



紫鶴さんに見送られ、私達は今日も稀モノを探しに巡回に出かけた。



「…なるほどなるほど、フクロウの巡回はこんな感じなんですね」



「まぁそのへんは警察と同じようなもんだよ。
対象が、本か人間かってだけで」



───今日の巡回は、燕野さんも加わってなかなかの大所帯だった。



私達の制服姿だけでも時折、訝しむ視線を感じる。そこに更に警察も加わり、道行く人が何度も私達を振り返っていた。



「(そりゃあ警察官がいたら不審がるよね。)」



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