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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第7章 ナイフと紺色の手帳-ヒヨクノトリ-



「やはり貴方みたいな男性は大して役にも立ちませんね」



「何だと?」



「ぶっちゃけ言うと、男性は朝から夜まで働いて帰ってくる"だけ"じゃないですか。それに比べて女性は家事から育児まで全部一人でやっている訳ですから"大変なお仕事"です。まぁ…まだ学生の身で働けない鵜飼さんには女性の大変さなんて分からないと思いますけど」



「!!」



「要するにですね?私が言いたいのは…"だからお前は何様なんだ"ってことなんです」



「なっ!?」



ニコニコと笑って辛辣な言葉を吐く私に驚いたのか、鵜飼さんは面を食らったように目を丸くさせている。



「いいですか鵜飼さん。時代なんて関係ありません。女性は男性より強いんですよ」



「強いだと…?」



「貴方が思っているよりも、です。なのであまり女性を馬鹿にしないでくださいね」



「貴様、誰に向かって口を聞いている」



「貴方です、鵜飼昌吾さん」



笑みを崩さずに言えば、彼の瞳に鋭さが増す。



「朱鷺宮さんのような女性はこの先たくさん出てきます。彼女のように立派に働く時代が来るんですよ。男性よりも、ね」



「っ…………」



「ご理解頂けましたでしょうか」



「もういい、喋るな」



「最初に話しかけてきたのは鵜飼さんじゃないですか」



「僕は忙しいんだ。これ以上お前の戯言に付き合っている暇はない」



「(本当に不愉快そうだな。)」



「あの女と同じで貴様も不愉快極まりない。いや、むしろあの女以上だ。部屋に戻る」



彼はそう言い捨て、足早に中に戻って行った。



「(ちょっと言いすぎた。でも先に喧嘩売ったのは鵜飼さんだし…)」



「引っぱたいてやれば良かったのに」



「紫鶴さん!?い、いたんですか!?」



「朝帰りして、酔い覚ましに少し散歩していたら君達の声が聞こえた」



「今日は本当に朝帰りなんですね」



「まぁいいじゃないか。締め切り明けにぱーっと飲んで騒ぐのがささやかな楽しみなんだよ。まぁ僕よりも問題は彼だよ。あんな調子で大丈夫なのかい?」



「少し失敗してしまいました。私もつい喧嘩腰になってしまって」



「傷付いたろう、さっきの」



「え?いえ、平気ですよ?」



「強がらなくてもいいんだよ」



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