第17章 守るべきもの
「アズリ………!」
緊張の糸が切れて、ふらついた身体を抱き留める。
「まさか………お前をもう一度抱きしめることができるなんてな」
優しい微笑を浮かべ、頬を撫でる。
「私も………あなたに触れたかったよ………。」
告げた途端、温かな雫が伝った。
「本当、泣き虫だな。俺しか面倒見きれねえよ」
抱きしめる腕は力強くも優しくて。
「帰ろう。………屋敷へ」
「うんっ」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
屋敷へ戻ると、出迎えてくれたのは。
「アズリ………! 良かったぁ」
柔らかな笑みを浮かべるフィンセントに、からかうように笑んだアーサー。
「やっぱり………、戻ったんだね」
「ナポレオン、こいつを泣かせたらお前からこいつを奪うからな」
テオは挑戦的に呟いて。
「あぁ、約束する」
彼女はふふ……。と微笑う。
「私……本当に、帰ったんだね………。」
そのおもては、幸せそうな微笑に彩られていて………。
たまらずに、抱きしめた。
「ナポレオン………! もう……みんながいるのに………。」
「このあとは俺の部屋で………な」
その言葉に、ちいさく。だけどたしかに頷いてくれた
彼女を抱き上げ、私室へとつま先を目指した。