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君色に染まりて【イケヴァン長編◆裏】

第1章 首飾り


「では………、私はこれで失礼します」

『セバスチャン』と名乗った燕尾服姿の青年は

慇懃に一礼をして部屋を出ていく。


「はぁ………。」

冷たく虚しい吐息。

自分の身体を抱きしめるように腕を掛け、思考を声に載せる。


「私……、これからどうなるだろう………。」

自分の掌を見下ろす。


瞳を窓の外へと巡らせると、ニヤニヤ嘲笑っているような三日月が浮かんでいた。

慌てて首を振る。


「考えるのはなし! もう寝てしまおうっ」

シーツを頭まですっぽり被り、『大丈夫だから』と説き伏せる。




けれど微睡みへと旅立つまで………、いやそれ以降も心はざわめいたままだった。
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