第12章 甘美な旋律【★】
嬲るような手つきに頂を凝らせてしまうと、そこが衣とこすれて微弱な快感を生んだ。
「っ………、いや………。こんなところで………っ」
「――ナポレオンが見てるかもしれないからね」
苛立たしげに言うと、彼は夜着の胸元を押し広げてきた。
「や………っ」
夜着を身に纏ったまま、胸だけをさらす姿となり 慌てて手でふくらみを隠す。
その手を、彼は無造作につかんで手すりに置いた。
(モーツァルトのことは嫌いじゃない………。でも………!)
こんなことをされたい訳じゃない。
それでも心とは裏腹に、むき出しのふくらみを彼の手で捏ねられ
なまめかしくまさぐられているうちに、否応なく下腹に熱が灯っていく。
「ん、はぁ………っ、あっ」
「………あいつにもっとその声を聞かせなよ」
そう囁きながら、痛いほどに疼いていた頂をつまみ、ぐにぐにと指先で転がしてくる。
「あぁ………っ!」
うなじから背骨にかけて痺れが駆け巡り、びくびくと身体を震わせてしまう。
しかしハッと気づいた彼女は、ふたたび唇を引き結んだ。
おそらくナポレオンはすでに去った後だろうが
いつ他の住人が自身の声を聞きつけてやってくるかも分からない。