第1章 首飾り
(その日は、枯れるまで泣いたっけ………。)
「アズリ!」
肩に触れた手に、現実世界へと引き戻される。
「本当に大丈夫?」
「あたし、送ってくよ?」
口々に心配を声に載せる友人たちに、彼女は軋む胸を隠して微笑って見せた。
「大丈夫だよ。ごめんなさい………、私帰るね」
ふらつく脚を叱咤して、自宅へとつま先を目指した。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
カフェを出ると、そこは漆黒が染め上げていて。
ぽっ、ぽつ、と冷たい雨が降り出していた。
(はやく帰らなきゃ………。)
靴の音を速め、歩き出した。
彼女を見つめる、視線にも気づかずに………。