第4章 したたかな花【★】
「そんな………っとこ、駄目ぇ! あぅっ!」
少しずつ指先を抜き差ししながら、落ちつかせるために頬を撫でる。
「っ………、あっ、んんっ!」
彼女の唇がかみしめられる。………初めての感覚に戸惑うように。
「痛いか………?」
「へいき………、だよ」
瞳には涙が浮かんでいるのに。そっと微笑む彼女。
「どうしても耐えられなかったら言えよ、やめるから」
こんな時でも、自身を気遣う彼に胸が痺れた。
思えば………、初めて会った瞬間から彼は優しくて。
「本当に大丈夫………。
だから………お願い、あなたの好きにして」
微笑む彼女は………、他の誰より綺麗だった。
「いや………、お前は生娘なんだろう? できる限り優しくするから。
だから………、そんな目で俺を見るな。
箍が外れそうになる………、優しく抱きたいのに」
見下ろしてくる彼の瞳には、欲と自制の念が映っていた。
頬を撫でる掌は、力強くも優しくて。その手に、彼女のそれが重なる。
「………いいの。
私だって………、あなたが欲しいんだから」
頬に触れていた手を取り、自身のむき出しの右胸に載せる。
掌から直に伝わってくるのは………、すこし速い生者の証。
「あなたが好きよ………、ナポレオン」
唇に触れるだけのキスが落とされ、告げられた想い。
………張りつめていた理性が、焼け切れた。
既に濡れているそこへ、己の象徴を宛てがう。
何度か入口を往復させて。
「いくぞ。
………痛かったら、俺の背に爪を立てろ。………な?」
「う、ん………。
ひっ………、ああぁっ………!」
ずっ、ずっ………、と彼自身が埋め込まれていくのが分かる。
引き裂かれるような痛みと 圧倒的な質量。
「っん………!」
唇をかんで、眉間に力を入れてしまう。
「痛いか………?
痛い、よな………。」
ゆっくりと、とてもゆっくりと。
さらに奥を目指して埋め込んでいくと、結合部の隙間から血が溢れた。