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君色に染まりて【イケヴァン長編◆裏】

第3章 ゲーム開始


彼女は自室へと入ると、後ろ手に扉を閉めた。

そのまま、ずるずると座り込んで。


(おばあちゃん………。

どうして………、どうしてこうなってしまったの?)

首飾りに触れながら、ただ雫を伝わせる。


ふいに、死す間際の祖母が告げた言葉が思考をかすめた。



『貴女ならば、きっと自分の運命を切り開くことができるから』



(もしかして………、)

いつだって優しかった祖母を疑いたくはない。


(おばあちゃんは………、こうなることを分かってた………?)


祖母はこんな事をする女性じゃない。

だけど彼女には、それ以外が本質だとはどうしても思えなかった。


首飾りのチェーンを外し、はめ込まれたサファイアを見つめる。

祖母の優しい微笑が見えた………、気がした。


「私はもう一度、あの人達を信じるから。

だから………、そこで見守っていてね」


伝う雫を拭って、微笑って見せた。

半分だけの月が 優しく煌めいた気がした………。






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