第3章 ゲーム開始
彼女は自室へと入ると、後ろ手に扉を閉めた。
そのまま、ずるずると座り込んで。
(おばあちゃん………。
どうして………、どうしてこうなってしまったの?)
首飾りに触れながら、ただ雫を伝わせる。
ふいに、死す間際の祖母が告げた言葉が思考をかすめた。
『貴女ならば、きっと自分の運命を切り開くことができるから』
(もしかして………、)
いつだって優しかった祖母を疑いたくはない。
(おばあちゃんは………、こうなることを分かってた………?)
祖母はこんな事をする女性じゃない。
だけど彼女には、それ以外が本質だとはどうしても思えなかった。
首飾りのチェーンを外し、はめ込まれたサファイアを見つめる。
祖母の優しい微笑が見えた………、気がした。
「私はもう一度、あの人達を信じるから。
だから………、そこで見守っていてね」
伝う雫を拭って、微笑って見せた。
半分だけの月が 優しく煌めいた気がした………。