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君色に染まりて【イケヴァン長編◆裏】

第3章 ゲーム開始


「嫌ッ………セバスチャンッ! 離して!」

悲鳴のような………、彼女の声。

やがて執事に腕をつかまれたまま、アズリが部屋へと足を踏み入れる。


「アズリ、話は聞いていたね………?」

そんな彼女に笑んだ伯爵。

ぎりっ、と唇をかんで 彼に厳しい視線を向ける。


「あなたは………、

こうするために私を此処へ連れてきたの………?」


お願い………、否定して。


「あぁ、そうだよ。俺は………、最初からこのつもりだった」


その瞳に浮かんでいた言葉を、無惨に消し去って。


「っ………!」

瞬間、吐息を封じた。

怒り、軽蔑、………哀しみ。その瞳に映る感情。


激しく執事の手を振りほどき、彼女はつかつかと伯爵に歩み寄った。

ぱんっ、と乾いた音が響いて。彼女が、伯爵の頬を張ったのだ。


「私は………、あなたの人形じゃない!

あなたの思うままになんてしない!」

瞳に今にも零れんばかりの涙を溜めた彼女は、一息に告げた。


「アズリ、待ちなさい」

彼女はそのまま、廊下へと飛び出した。

溢れる感情に身を任せて。




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