第4章 片恋ワルツ【アーサーBD企画様参加SS】
「ねぇ、聞いてるのアーサー!
もしかして、あの小娘となにか遭ったの?」
思わず吐息を封じた彼に、苛立ったように呟いた。
「テオも、あなたもあんな小娘のどこがいいの―――」
「………イサラは関係ない」
自分でも驚くくらい、冷たい声音だった。
彼女は瞠目したのち、くるりと身を翻す。
「気分が悪いから、じゃあね!」
(何をやってるんだろう、俺は………。)
片方の掌で目元を覆う。
「あのコが俺のなに?
ただ………からかうのが面白い。それだけだった筈だ」
その時、ワルツの旋律が聞こえてきて。
「イサラ………、そろそろ戻ってきたかな」
ダンスホールへと、つま先を目指した。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「踊って………頂けますか」
彼女を見つけると、どこぞの貴族の息子にダンスを申し込まれていて。
「あ、あの・・・私………。」
困っている彼女の手首を掴んで、その貴族に告げた。
「このコは俺が先約だから」
手を取り跪く。
「踊ろう………、イサラ」
悪戯に告げる彼に、彼女もつられて微笑んだ。
「喜んで………。」