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秘め事【イケメンヴァンパイア◆SS集・裏】

第4章 片恋ワルツ【アーサーBD企画様参加SS】


「ねぇ。子爵となにを話してたの?」

「伯爵の様子を聞かれただけ。それ以外は………なにも話してないよ」

そっと微笑って、軽やかにターンする。


「みんなあなたのこと見てるよ………、アーサー」

悪戯に呟く彼女を、ぎゅっと抱き寄せた。


「っ………アーサーッ?」

「みんなが見てるのは………キミだよ。俺じゃない」

真剣な声音だったのに、彼女は微笑んだ。

………きっと、本気にしていないのだろう。


「私は綺麗じゃないし、きっとアーサーの―――んんっ!」

言葉を遮るように、キスを交わす。

ややあって唇を離すと、彼女は頬を朱染めていた。


「キミは、自分のことが全然見えてない。

だからこそこんなに―――。」


『キミに惹かれてしまうんだ』―――その言葉を喉奥で封じた。


「………?」

不安げに瞳を揺らす彼女に、彼は微笑って見せる。


「なんでもない。だからキミは、そんな顔しないで」

顎に添えた手。その指先で唇をなぞった。


腕の中に囲いながら、目の前の人を思考に載せる。



気高く芯が強くて、そして誰よりも優しいキミにどれだけ救われたかわからない。


その笑顔を曇らせないために、ずっと傍にいるよ………。


声には載せられぬ想いを込めて、彼女を抱きしめていた………。

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