第4章 たまには甘えていいですか?*三成、家康、光秀*
《たまには甘えていいですか? 三成ver.》
(……ああ、あったかいな、気持ちいい)
秋晴れの、御殿の縁側。
今日は日差しも温かく、もうすぐ冬とは思えないくらいだ。
そんな中、舞様の膝を借りて……
頭を乗せて横になれば、舞様は私の頭を優しく優しく撫でてきた。
たまにちらりと視線を向けると、舞様は私を見下ろし、にっこりと笑う。
愛しそうに髪を梳く指が気持ちよくて……
私は思わず微睡んで、意識をふわふわさせた。
「気持ちいいな、ずっとこうして居たいです」
「ふふっ、今日は随分甘えん坊なんだね」
「たまには私も癒されたいのですよ。ちょっと前まで遠征に行っていて、舞様不足になったから…今思いっきり堪能してます」
「そっか、なら存分にどうぞ?」
「勿論ですよ」
横向きから仰向けになり、舞様の顔を見上げて、笑みを零す。
本当に幸せすぎて、頬が緩みっぱなしだ。
このぬくもりのためなら、なんでも出来るな。
そんな風にさえ思う。
そして、幸せを感じると同時に……
『ある事』にも改めて気がついた私は、腕を伸ばし、そっと舞様の頬に触れた。
「でも、もうすぐ膝枕も出来なくなりますね」
「そうだね、膝は三成君のものじゃなくなっちゃう」
「それは嫌だな…この場所は私のものですよ?」
「もう、三成君は……」
舞様は私に向かって苦笑し……
触れている手に、そっと手を重ねて言った。
「お父さんはわがままですね、困っちゃう」
────舞様と散々愛し合って
そうして結晶となった生命が、舞様の腹に宿ったのは、今から半年ほど前だ。
日に日に膨らんでいく腹を見ながら……
舞様を手に入れた事以上の幸せがあるのかと、本当に驚いている。
私が父親になるんだな。
そうは思っても、父親としての意識が芽生えるには、なかなかに努力がいるのかもしれない。
現に──……
生まれてきたら、母親である舞様を独占されるかと思うと、少しだけ嫉妬してしまう。
(まだまだですね、私)
貴女はもうこんなに母親らしいのに。
私はいつまでもわがままだな、と思った。