Rein Carnation《進撃の巨人/ライナー》
第7章 I love you crazy enough
出来事は一瞬。
結衣は急に頭の中で過去の記憶が蘇り、足を床に踏み込んで、飛び掛るフランのみぞおちの辺りを蹴ると、フランは倒れて、床で頭を打った拍子に気を失った。
蘇ったのは訓練兵時代の記憶。
対人格闘の訓練を真面目にやっていた結衣とライナーの記憶だった。
これをやったせいで、ライナーがしばらく立ち上がれない程だった。
ただ、怯むだけだった筈だが頭を打つとは。
結衣は急いで警察を呼ぼうと、後ろ手に拘束された腕をどうするか迷っていた。
「・・・結衣、俺の腕を・・・取れるか」
「う、うん!」
まだ息の荒いライナーが言い、結衣は後ろ手のままライナーの手首のロープをハサミを持ち出して切った。
「クソ・・・薬で・・・身体が・・・」
薬、強い催淫剤のようで、その薬のせいで顔を赤らめたままのライナーは、結衣の拘束を解いた。
「結衣・・・よく足の拘束を解けたな」
「うん、必死だったから・・・ほら、ちょっと痛いや」
結衣の足には、足首や足の甲、至る所に引っかき傷や擦り傷があった。