Rein Carnation《進撃の巨人/ライナー》
第7章 I love you crazy enough
8時半。
結衣はオフィスに着き、始業準備をしていた。
「結衣、ちょっといいかな」
エルヴィンがデスクから声を掛ける。
「はい」
結衣が駆け寄ると、エルヴィンは書類を手に、昨日の仕事の引き継ぎをしてくれた。
「お手を煩わせてしまい、すみませんでした」
「いいんだよ。君の為だ」
エルヴィンは頬杖を付きながら微笑んで、書類を渡してきた。それを受け取った結衣の手を指で撫でると、不意に結衣の心臓が跳ねる。
「ふ、結衣は本当に可愛いな。じゃあ今日もしっかり頼んだよ」
「は、はい、了解しました・・・」
顔が熱いまま、デスクに戻ってパソコンを立ち上げた。
それから、ライナーの姿をオフィスに探すが、時間が経ち、昼を過ぎ、夕刻になっても姿は見えなかった。
連絡も返ってこない。
結衣は仕事を速攻で終わらせて定時で上り、ライナーの家までタクシーで急いだ。