Rein Carnation《進撃の巨人/ライナー》
第6章 Pathetic mind
ライナーの言葉に結衣は困った顔をするが、ライナーが結衣を見て、アゴを上げさせて頬にキスをした。
ライナーの行動は、先程のエルヴィンと同じだった。
「あの人にキスされただろ?何故拒まなかったんだ?」
「・・・えと、ごめん・・・挨拶程度だと・・・」
「ったく、上司があんな顔でする事じゃねえだろ。相変わらず危機感無さすぎるぞ・・・」
「あ、でも・・・交際は断ったから」
あの悲しみを含んでいるような瞳を思い出した。
あの瞳は、答えを知っているようだった。
「あぁ、だからか」
「え?なに?」
「マネージャーに通りすがりざまに言われたんだよ
“キス(これ)は君に対する宣戦布告だよ”
ってな。そういうことだったか」
結衣から手を離す。
「あの人怖ぇよな。まあ結衣は誰にも譲るつもりは無い」
ライナーはまた結衣の手を引いて歩き出した。
その背中を結衣は見つめながら、幸せと、少しの不安を感じた。