Rein Carnation《進撃の巨人/ライナー》
第1章 I’ll never forget you
2018年も下半期。
外は雨が降り、結衣は窓の方を見ていた。
電話の音。
話し声。
パソコンのタイピング音。
結衣が20歳の時に転職してから5年間勤めている会社のオフィスは、いつもと変わらない賑やかさ。
こうして働いていると、やはり自分が“頭がおかしい”と結衣は強く思う。
その理由は、とある記憶。
結衣を食い散らかす、恐ろしい・・・巨人。
この世には巨人伝説なるものは、ある。
だが結衣の中にある記憶はきっとソレとは違うもの。
所詮は伝説。
実際は存在し得ない。
結衣はパソコンから離れて肩を回し、オフィスに備え付けてあるサーバーに飲み物を取りに席を立った。