Rein Carnation《進撃の巨人/ライナー》
第12章 Side Story , Erwin -850-
「あの時・・・怖い思いをさせてしまった。本当にすまない」
俺が握った彼女の小さな手。
ルイーゼは俺の手に軽く力を入れた。
「いえ、大丈夫です。・・・これからも人類の為、より一層、精励致します。・・・では、失礼致します」
彼女は真っ直ぐにそう言えば、俺から一歩下がって敬礼し、心臓を捧げた。
「・・・ああ」
ルイーゼはそれから、正体が鎧の巨人であった恋人、ライナーに連れ去られ、それ以降は自らの意思であちら側に着き、無垢の巨人との戦闘で絶命した。
ルイーゼの叫び声を背中に聞きながら、助け出したい気持ちを押し殺して撤退した。
頭が潰された彼女を、鎧の巨人も俺も救い出すことが出来なかった。
俺の人生の後悔だ。
寒いエレベーター内。
「・・・結衣、私を・・・拒まないでくれ」
俺は再びチャンスを与えられた。
キスを受け入れる、美しい大人の女性に成長した君。
この言葉を覚えているのか。
言葉を聞いた瞬間の君の隠しきれていない動揺は、私の前世の記憶を現実の物にする。
幻想の中にぬくもりを感じながら、俺は結衣を抱いた。
-『Side Story , Erwin -850-』 END -