Rein Carnation《進撃の巨人/ライナー》
第12章 Side Story , Erwin -850-
「団長、こちら前回の会議の議事録です」
・・・また隠した。
最近、 鼻の頭を日焼けしたようで、それを気にしながら会話するルイーゼを見るのが囁かな楽しみ。
「・・・あの、団長?具合でも・・・」
「いや、何も無い。ご苦労だった、助かったよ」
ルイーゼのことを知ったのは去年、訓練兵が迎える最後の夏。
今と季節は違うが、今日の様に太陽が照り付ける日だった。
訓練兵の視察の為に年に一度、訓練兵舎を訪れる。
第104期訓練兵の兵士の中にルイーゼはいて、昼の休憩に水遊びをしてはしゃいでいた。
その無垢な笑顔に、目を奪われた。
彼女が調査兵団に入ってからは、ふと彼女を探してしまっていたり、ちょっかいを出してしまう。それが恋心を抱いてのことだと気が付くのにはそう時間は要さなかった。
彼女は10代、自分は30代。
そもそも10以上離れた年の娘に恋だなんて気が狂ってるとしか思えない・・・。
ペンを走らせながら、落胆のような溜息を吐き出した。
「辛気くせぇな。何をそんなに悩んでる。資金か?慢性的な兵士不足か?」
「まあ・・・それもだが、違う」
「じゃあ何だ」
「恋煩いだ」
「は・・・?」
・・・よし。彼女を見守ろう。
彼女と恋仲になれるとも思わないが、そもそも自分は一兵団の長。
個人的な感情なんてものは持ち込むべきでない。
いつも通りに、そして悟られぬように尽くす。
だが、その決意は僅か数日にして揺るがされた。