第6章 酔いの代償 〈完〉
「つけてくれた印が消えそうなんだけど…どうしようか?」
「え?」
「約束を今日果たしてもいいし、少しあけてもいい
葵が決めて」
困ったように眉を寄せ
「…じゃあ、あけて」
と小さくつぶやく
「わかった、じゃあ、印を更新して」
おもむろに自分の襟を開いていく
「は?」
「印が消えそうなの」
「うん」
「だから、もう一度つけて更新して」
「ええっ」
「驚くことじゃないでしょ?
あの夜だってこの痕が消えるまでっていったはず」
「…そうだけど」
「好きな女を抱くのをこれ以上我慢できない」
顎に手をやり口づける
「んっ」
「アンタは俺のことが嫌いになったの?」
「なってないっ…けど」
「けど?」
「突然だったから…」
「だったら付けなおして」
「…う、ん」
抱きしめていた身体を離し
付けやすいように襟を開くと
恥ずかしそうに胸に手を置き
ゆっくりと唇を近づき胸に唇をつける
唇の感触に身体に熱が灯るを感じる
チリッ
すっと恥ずかしそうに離れた腰を引き寄せ口づける
「ん!!」
貪るように口づけ、
立っていられなくなり縋り付いてきてから離してやる
「今度逃げたら…その場で抱くよ」
「っ」
コクリと真っ赤な顔をして頷く頭を撫でてやり
襟元を整える
「じゃ、葵、またね」
「うん、ま、たね。家康、おやすみなさい」
「おやすみ」
終
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