第1章 甘えるのが苦手なあなたに〈未完〉
「葵?」
「…?」
「葵、起きて。夕餉の時間だよ。」
仕立てを進めていたはずが、いつの間にか眠ってしまっていたようだ。
「ん…」
家康に手を引かれ起き上がる。
「遅れちゃうよ、行こう」
「んにゃあ」
「まだ寝ぼけているんだね。食べられそう?」
「んにゃ、いえにゃす」
「なにそれ…可愛いけど今はだめ。ほら、いくよ」
迎えに来てくれた家康の後ろについて広間に入ったところで、信長様も席に着きすぐに夕餉がはじまる。
煮物を一口に入れると、ちょうどいい味付けで美味しい。
「んにゃー今日もとっても美味しいにゃあ。ねぇいえにゃす。あーまたそんにゃにかけてーかけにゃくてもとってもおいしいにゃ。ましゃむねのお料理は最高にゃ」
「ククっ小娘、また何かを拾い食いしたのか?」
「みちゅひでさん!またって拾い食いにゃんてしたことないにゃ、失礼しちゃうにゃ」
「葵、まって、どうしたのそれ?」
「それってなんにゃ?」
「おい葵、お前自分でにゃーにゃーいってんのわかんねーのか?」
「にゃーにゃー?」
「ああ、夕餉中じゃなきゃどうなってるか分かんねーぞ」
「またーましゃむねまで私をからかってるにゃ、もうしらにゃい」
「葵、とりあえず、何も話さなくていいから、早く食べて。」
「え?にゃんで?」
「いいから、いう事聞いて。」
「んにゃう」
「葵」
「んにゃう!にょぶにゃがしゃま」
がたん。
「すみませんが、退席させていただきます。」
「葵、きて」
急に立ち上がった家康に手を引かれ、自分のお膳に目をやる
「んにゃ、まだちゃんと食べてないにゃ」
「いいから」
葵を無理やり立たせ、連れ出そうとしたときに、三成が声をかける。
「葵様、大丈夫ですか?」
「みちゅにゃりく」
「三成、うるさい。葵、黙って。あとで食べさせてあげるから、いう事聞いて」
「んなーう」
「家康、後で報告しろよ」
「…はい。」
「じゃ、みにゃ」
「葵、話さない」
「なーう」